悠言録

 「虎は死して皮を留める」ということわざがある。2年にわたり入退院を繰り返し病魔と闘い続けた部下が2日、永眠した。享年33。余りにも早い死だった▼2年前の4月、「胃が痛い」と検査入院。心臓付近にリンパ腫が見つかり即入院した。放射線治療を続け、その年の12月に医者から寛解宣言を受け、一時帰宅。早々の復帰を期待した▼だが、年が明けると体調を崩し再入院。脳への転移が見つかった。その後、幾度となく入退院を繰り返し、一時帰宅の際には電話越しに愛娘の「パパ、パパ」の声が響く中、「必ず戻ります。ご迷惑をおかけしていますがが、待っていてください」と力強く復帰を誓っていたことを今でも思い出す▼2日に悲報を受けた際、足の震えが止まらなかった。安らかに眠る姿を見て、涙をこらえることができなかった。3日に通夜、4日に告別式が営まれたが、生前交流のあった旧友や記者仲間らが参列、弔電も多数届き、あらためて部下の人柄に触れた▼何事にも真剣に取り組む生真面目さもさることながら、人にやさしい、心配りのできる人間だった。ある取材相手は「真摯(しんし)に取材していただいて、こちらの立場に立った記事を書いてくださり、とても信用できる方でした」と話してくれた▼虎は死んだ後も美しい毛皮を残す。部下の死は早すぎたものの、取材相手や読者に喜んでもらえる多くの記事をたくさん残した。故人のご冥福を心から祈りたい。(虎)








続きは本紙をご覧下さい。

購読のお申し込み