悠言録

「美術館が街をつくる。子どもとともに成長する美術館に」ー。全国から注目を集めている金沢市の金沢21世紀美術館の開設に尽力された蓑豊さんに本社主管の新生奈良研究会で講演していただいた▼同美術館は芝生の中に浮かぶ宇宙船のようで4方向から入退場でき、ガラス張りの開放的で明るいミュージアム。年間150万人が訪れ、子どもたちも楽しく過ごせる無料ゾーンも人気▼計画当初は「市内の一等地に土地代を入れて200億円も使うのは無駄使いだ」と非難され、周りの商店街からも「美術館などつくっても客は来ない」と反対されたという。しかし、これらの反対を押し切り石川県と金沢市が検討委員会を立ち上げ、市立の美術館として誕生した▼開館当初、市内の子どもたち全員にこの美術館を観せたいと、市に5000万円の予算を要望、3カ月有効の無料入場券を4万人の小中学生に配った。続々と訪れる子どもたち。開館8カ月で来館者が100万人に達し、7年近くで1000万人を突破した▼経済効果は言うに及ばず、今では商店街と「アートdeまちあるき」などを展開し、活気あふれる街づくりに成功している。「あの時市長がノーといっていたなら今の賑わいはなかった」と自ら同市の助役をも務めた蓑さん▼金沢以上に豊富な文化遺産を誇る奈良にあって、果たして美術館で街づくりができているのか、疑問でならない。(純)

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