悠言録

 「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」。須佐之男命(すさのおのみこと)が出雲の国で八股の大蛇(やまたのおろち)を退治し、櫛名田比売(くしなだひめ)と結婚。ある場所にたどり着いた時に、豊かな自然が醸し出す命の息吹を感じ、この句を詠んだとされる▼この八雲を日本名としたのが小泉八雲こと、パトリック・ラフカディオ・ハーン。ギリシャ出身の新聞記者だ。憧れの存在だった女性ジャーナリストから旅行で訪れた清潔で美しい国・日本の話を聞き、来日を決意。知り合いの紹介で島根県松江市で英語教師となる▼島根県の旧国名である出雲の枕詞に因み「八雲」と名付けたという説と、片仮名読みで「ハウン」となることから、本名の「ハーン」に近いということで当てたという話もあるが、いずれにせよ須佐之男が愛した地・出雲にたどりついたのは数奇の運命といえる▼関東・東北地域を襲った水害は、鬼怒川を決壊させ8人の尊い命を奪った。この間、国会は安保法制論議に躍起。参院特別委員会での暴力行為や怒号が連日報道される中、被災者の救助に当たっていた自衛隊員らは何を思っていたか▼安倍晋三首相の第1次政権には「美しい国、日本」というキャッチフレーズが注目を集めたが、今や「美しさ」よりも「強さ」を求めているかのよう。日本を愛した八雲が草葉の陰で泣いている▼あす9月26日は八雲の命日―。(虎)

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