悠言録

 パリの同時多発テロを受けて、英国は過激派組織「イスラム国」(IS)への空爆範囲をイラクからシリアに広げることになった。今回のテロ事件ですでに米国やフランスが空爆を強化しており泥沼化の様相を呈している▼果たして空爆の強化でイスラム過激派を一掃できるのだろうか。誤爆や巻き添えで民間人が犠牲になっていることも確かで、さらなる憎悪を生み出す可能性もある。このようなことで「報復と憎しみの連鎖」を断ち切れるとは思わない▼いま、フランスでは憲法改正や人権制限が公然と論じられているという。その行き着く先を考えると不安でならない。軍事介入はテロを根絶するのではなく、テロの土壌をつくり、悲惨で果てしない戦いが始まる▼無差別に市民の命を奪い社会を混乱に貶(おとし)めるテロは決して許されるべきではない。しかし、憎しみと恐怖に怒り、報復に走れば相手の思うつぼではないか▼英国が昨年9月にイラク領内への空爆を実施した際、イラク政府からの要請を根拠に、集団的自衛権を行使すると説明し、議会の承認を取り付けた経緯がある▼わが国でも国民の反対が渦巻く中、政府はこれを押し切って集団的自衛権の行使を認める安全保障関連法制を成立させ、来年3月までに施行される。願わくば「威嚇」ではなく「民主外交」を優先する国として周囲から理解されることを期待せざるを得ない。(純)

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