悠言録

 「開いたばかりの花が散るのを『今年も早いね』と残念そうに見ていたあなたはとてもきれいだった」。歌手・宇多田ヒカルの曲「桜流し」の冒頭だ。きのう7日は、西日本を中心に雷を伴って激しい雨が降り、満開の桜に襲いかかり、まさに桜流しの雨となった▼『万葉集』に約40首詠われるなど、いにしえの時代から人々に愛され続けてきた桜。桜にまつわる言葉も数多く、桜流しをはじめ、桜が咲く頃に降る雨を指す「桜雨」、散る桜のことをいう「零(こぼ)れ桜」など風流な言葉が並ぶ▼桜の花びらが乱れ散る様子を雪にたとえた言葉として「桜吹雪」があるが、この言葉を聞いて多くの人が思い起こすのが時代劇「遠山の金さん」だろう。江戸町奉行・遠山金四郎景元が2つの顔を持ち、悪を裁く痛快さが人気を博した▼奈良市議会3月定例会は、仲川元庸市長が再議に付した新年度予算の修正案が出席議員(38人)の3分の2以上(26人)の賛成を得て再可決された▼仲川市長が議会に対して歩み寄る姿勢を見せない中、議会が暫定回避に向け努力した結果で、議会側の「遠山名裁き」となったわけだが、当の仲川市長に反省の色は見えない。行政手腕にあらためて疑問符が付く▼「明日ありと思う心の仇(あだ)桜」。きのうの桜流しのように、いつ嵐に見舞われ花を散らしてしまうかはわからない。仲川市長は今回の結果を真摯(しんし)に反省すべきだ。(虎)

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