悠言録

 「重複障害者が生きていくのは不幸だ。不幸を減らすためにやった」。神奈川県相模原市の知的障害者施設で19人を刺殺し、26人に重軽傷を負わせた植松聖容疑者の動機だ。この言葉に対する被害者家族の怒りはどれほどのものか▼有名なドイツの独裁者、アドルフ・ヒトラーは、国家の人種的な完全性を取り戻すために「安楽死プログラム」を掲げ、重度な心身障害者を虐殺した。今回の植松容疑者の犯行は、時代や規模は違えど、人の気持ちを考えない自分勝手な思想による大量殺人として、ヒトラーと共通する部分がある▼先日取材で、重い障害を抱える息子の養護学校卒業後の居場所をつくろうと、似た境遇の母親らと共に障害者福祉施設を立ち上げた母親の話を聞いた▼「子どもたちに笑顔の花を咲かせたい」、その一心で困難に立ち向かう母親たち。その「愛情の深さ」は底なしだと感じた▼障害を抱えた子どもを育てるのは簡単なことではない。しかし、その苦労、困難が家族を団結させる。「この経験は私たち家族にとって、とても有意義だった」と母親は笑う▼植松容疑者が衆院議長に宛てた手紙の一部には、「障害者は不幸を作ることしかできません」と書かれていた。「思想・良心の自由」は日本国憲法で定められた権利だが、人が人の命を奪ってもいいという道理は、この世には決して存在しない。国民一人一人が、あらためて認識すべきだ。(梶)

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