悠言録

 まだまだ残暑の厳しい日が続くが、新学期が始まる9月に入ると子どもの頃の感覚が染み付いているのか、夏の終わりを感じて寂しい気持ちになる▼夏といえば海や川など、自然に囲まれての水遊びやバーベキューが醍醐味(だいごみ)だが、今年も川に流されて溺れるなど、尊い命を失う悲しい事故が相次いだ▼そのなかでも特に印象深いのが、東吉野村の高見川で起きた事故だ。中学生の兄弟らで川遊びをしており、弟が友人に渡そうとして投げた銛(もり)が、手元が狂って友人のすぐそばでしゃがんでいた兄の頭に直撃。病院に運ばれたが、約5時間後に脳損傷で死亡した。まさに「惨劇」と言わざるを得ない、心が痛む悲惨な事故だった▼県内では毎年、数人が水難事故で死亡している。吉野署などは事故防止のため、命を守るPRビデオを作成するなど、さまざまな対策を講じているが、大きな成果には至っていない▼子どもたちにとって、川は自然を感じることのできる大切な場所。川遊びを禁止にすれば事故は減少するだろうが、同時に笑顔や感性など多くのものが失われることは言うまでもない。「安全・安心」の確保は無論大事なことだが、そればかりにとらわれ、子どもたちの自由を奪うようなことがあってはならない▼先日、セミの抜け殻を手に走り回る子どもたちを見かけた。こういった当たり前の風景が少しずつ失われつつある。(梶)

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